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旅行+生活情報+ドイツ語と、ちょっと言いたい今日のドイツ

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2010/03/24 (Wed)
EB トレッキングルート 3(遭難者の記録)
またトレッキングルートに戻って、ベースキャンプを目指します。
最初は高いところにあった登山道が、谷底に近づいてきました。
川の水は氷河色。どんな味がするんでしょうかね?

Dudh_koshi_valley
気持ちいいでしょうねえ、ただの短時間トレッキングなら(^^;)


細い渓谷を抜けるとY字路になり、氷河に削られた広い谷に出ます。
左へ行くとエベレストの南になり、左へ行くとベースキャンプの方角です。
氷河はエベレストのほうに右へ曲がっているので、ここから見えるのは中国との境界線を作る山並みです。

フェリチェ
あの山の向こうはチベットです


この分岐点にある宿泊地はすでに4530m。
慣れた登山家なら数日は一つの村に滞在して高度に慣れますが、カトマンズから飛行機で来て、高度に慣れる時間を惜しんだ観光登山者が、高山病で苦しむ高さです。
高山病 (Wikipediaからの抜粋)
高山では空気が地上と比べて薄いため、概ね2400m 以上の高山に登り酸欠状態に陥った場合に、さまざまな症状が現れる。 主な症状は、頭痛、吐気、眠気(めまい)である。他に、手足のむくみ、睡眠障害、運動失調などが現れることもある。低酸素状態において数時間で発症し、一 般には1日後~数日後には自然消失する。しかし、重症の場合は高地脳浮腫高地肺水腫を起こし、死に至ることもある。
実際にエベレスト登山者の中にも、この病気で命を落とした人がたくさんいます。
数日余計に高度になれる時間をとっていたら、運命は変わっていたかもしれません。
ダンナは高度に慣れる時間を十分にとって、準備トレッキングに当てていたので、おそらく問題はなかったでしょう。

フェリチェ
氷河が作り上げたU字の谷


広い谷の底に伸びる登山道をたどっていくと低い峠に差し掛かりますが、そこには石が積み上げられた、あるものがあります。
その名がTombstonesだと聞けば、おそらく誰でも気がつきますよね?
そう、エベレスト登山で命を落とした登山者たちの名前が残されている、死者のための慰霊の石です。

Tombstones
1996年に起きた、有名な遭難事故の犠牲者、Scott Fischer の名前が見られます


エベレスト登山が記録に残されるようになってから今までに、200人以上の方が亡くなりました。
この死者の中には高山病や遭難でなくなった方が含まれていますが、遭難者の100人以上の方は、いまだにエベレストで眠っています。
1996年の有名な遭難では5月10日と11日にかけて、8人が遭難死しました。
その中には、世界の7大陸最高峰登頂者でこの日に女性として最高齢登頂を果たした日本人女性の難波康子さんも含まれています。

IMAXの映画、「エベレスト」をご存知ですか?
偶然同じ日にエベレストのドキュメンタリー映画の撮影をしていたIMAXチームが、複数の登山チームの遭難を知り、ベースキャンプで取材をしました。
そのときの映像が後にIMAX映画として公開されましたが、同じく遭難死した登山ガイドのRob Hall が命尽きる間際に、衛星電話でニュージーランドの我が家にいる妻と最後の別れをした場面が映し出されています。

猛吹雪のために高度8750mで疲労困憊して動けない状態となった彼は、もう下山はできないことをベースキャンプに電話で伝えたときに、ニュージーランドで彼の帰りを待つ妊娠中の妻と話をさせてくれるように頼みます。
ベースキャンプがもうひとつの電話で奥さんに連絡を取り、2つの電話をくっつけて二人が話をできるようにセッティングをしたあと、彼が奥さんにもう帰れないことを告白。奥さんは必死で彼に呼びかけます。
「お願い、立って!立って歩くのよ!」
「もう動けない。寒い、寒いよ。」
奥さんの必死の呼びかけも、彼を立たせることはできない。
短い電話の末に、疲れ果てた彼の声が聞こえてきます。
「もう寝るよ。お休み」
きっと泣くのをじっと我慢していただろう奥さんからも声が聞こえてきます。
「お休みなさい」

それっきり彼の電話は沈黙してしまいました。
ベースキャンプの人たちの、苦しそうな悲しそうな顔が次々に映しだされる。
これはドキュメンタリー映画。
彼の死の直前を、視聴者は映画を媒体として何度も体験するんです。


遭難したRob Hall の隊に参加していたJon Krakauer がこの遭難について書いた本、「Into Thin Air」を元に作られたテレビドラマはドイツでも放映されました。
日本人女性が遭難者の中にいただけに、私もダンナの横で一緒に見ました。
全員登頂に成功した後急に天気が変わり、猛吹雪の中で動けなくなって衰弱していくシーンをご家族が見たら、どんなにか心が痛むことか・・・


Wikipadia の参考ページのリンクをつけておきます。
この遭難は日本では有名ではないようなので、リンクは英語とドイツ語です。

1996年5月10日と11日にあった遭難についての記事
1996 Everest disaster(英語)
Unglück am Mount Everest (ドイツ語)

Jon Krakauer の書いた本
Into Thin Air(英語)
In eisige Höhen(ドイツ語)

テレビドラマ
In eisige Höhen – Sterben am Mount Everest(ドイツ語)

エベレストで亡くなった登山者の方々のご冥福を心よりお祈りします。
次に続きます

拍手[4回]

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無題

どうしてそこまでして登りたくなるのだろう・・・?登山をした事がないのでよくわかりませんんが、駆り立てる何かがあるのでしょうね。

>IMAXの映画、「エベレスト」をご存知ですか?

その映画は見たことがありませんが、IMAXって巨大スクリーンで3Dメガネをかけてみる映画ですか?海の中の世界の話のなら見たことがありますが、「エベレスト」を見たらなんか気持ちを引きずりそうです・・・
  • ラーダ・ドゥーナ さん |
  • 2010/03/24 (22:00) |
  • Edit |
  • 返信

ラーダ・ドゥーナさんへ

独りよがりな記事にまでお付き合いしていただいて、申し訳ないです。
コメントするのが大変になりましたら、スルーしてくださっても大丈夫ですよ

登山の魅力は何と言っても達成感です。そして、素晴らしい360°のパノラマ。山の上からの眺めは最高ですよ。傾斜が急なところは怖いけど(^^;)

IMAXは3Dもありますが、これはIMAXが開発した特殊なカメラで撮影された2Dフィルムです。はい、巨大スクリーンで見るやつです。普通の映画と違って3Dのような特別な臨場感があるので、自分がそこにいるような錯覚に陥ります。
画面がすごくリアルに見える映画なので、この映画を見た後は余韻が大きすぎた覚えがあります。特にこの電話のところが・・・

もしどこかで機会があったら見てみてください。
本とこの映画の効果もあって、この日の遭難は有名になりました。
エベレスト登山の厳しい一面を見せてくれる、いいドキュメント映画だと思いますよ。
  • from くろろ |
  • 2010/03/25 (07:26)

無題

”山がそこにあるから登るのだ。”という有名な言葉がありますが、登山をしない人々にはなぜそんなに苦労して登るのか、頂上の景色がいいのはわかるけれど。。。という感じなんでしょうね。URL読みましてなんか登山者の執念みたいなものを感じて悲劇だと思っても反面彼ら彼女らは何かそんなに打ち込むものがあって幸せだったのだとも思いました。  旦那様無事にお帰りになって大変よかったですね。あまり高い所には登らなかったとは言えど、エベレストとなればそれなりの危険があったことと思います。 私の夫も登山ハイキングが好きでして、いろいろな所に登ったようで、カトマンズーにも行ったことがあるのですが、登山はしなかったようです。 いい年して今さらエベレストの登山ルートを登ってみたいなんて言っていますが、私にしてみればやめてほしいですね。
  • Tomimaru さん |
  • 2010/04/05 (06:22) |
  • Edit |
  • 返信

Tomimaruさんへ

ダンナが言っていましたが、2000mの山を制覇すると次は3000m、そして4000、5000mと、次の目標ができるんだそうです。だからみんなエベレストに登りたがるんですね。
ベースキャンプへは谷に沿ってゆっくり登っていくので、危険と言えば氷河を横切るときでしょうか。ベースキャンプ付近では氷河の音が聞こえたそうですよ。前線の氷が崩れる音ですって。

ベースキャンプまでなら難しい道ではないので、旦那様にもできると思いますよ。ただし、高度5000mになるので高地への順応が大切ですが。ダンナは毎日15kgのリュックを背負って6時間から7時間歩いたそうです。地元民に荷物を運んでもらうこともできますが、1週間のルートなので、彼らの宿泊費、食事代も払わないといけないですけどね。

テンプレ、気に入ってくださったようでありがとうございます。
でも、サービス会社ごとに独自のスクリプトを利用していて、忍者ブログとFC2では方式が全く違うので、FC2に合うように書き換えないと使用は無理です。
いつの日かテンプレを引っ提げてFC2にデビューするつもりですので、その時にはよろしくお願いします(ぺこり)
いつになるかと聞かれると、大汗かくんですけどね(^^;)
  • from くろろ |
  • 2010/04/05 (07:58)
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