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2011/11/21 (Mon)
ドイツのキセル乗車事情
ドイツには改札口がないけど、みんなちゃんとチケットを買っているのか、疑問に思ったことはないですか?
ヨーロッパでは一部の都市を除いて、大抵の駅に改札口がありません。
駅構内やホームに切符の自動販売機はあるけど、検札もなく、直に列車に乗り込みます。
駅によっては、駅の建物を通らずに道路から直接列車にたどり着けるところもあり、日本人から見れば不思議な光景です。
日本では、田舎の駅以外ではほとんどの駅に自動改札口が設けられていて、それでもキセル乗車をする人がいる有様だというのに、ヨーロッパ人はみんなまじめに切符を買うから改札口がいらないんでしょうか?
この疑問にお答えする前に、ドイツの改札口の歴史をたどる必要があります。
姑の記憶によると、実は、約60年前までは駅構内のホームへの入り口が遮断機のようなもので遮られ、その前に立っている駅員に切符を見せないと列車に乗れなかったそうです。
当時はどこの駅にも住み込みの駅員がいて、改札から列車の発車の合図などの様々な仕事をしていたそうですが、後に人権費削減のために駅員は廃止となり、車掌による車両内での検札が始まりました。
それ以降、検札の仕方はそのままで変わらず、現在に至っているわけですが、未だに改札機が使用されないということは、乗客が真面目にチケットを買っているからでしょうか?
答えは、否。
どこの国でも、不正乗車というものはあるものなんですよ。
ドイツでも昔からキセルをする人がいました。
ただ、その大部分は青少年層で、短距離で乗り降りする近郊列車や市内の列車だけでした。
現在でもキセル乗車をするのは青少年が多いですが、実は以前より複雑な様子を見せるようになってきています。
1960年代にドイツ全国で0.5%前後だった不正乗車率は、1980年代には1.5%になり、現在では3%~4%に達するところも出ている有様です。
不正乗車常習犯の中には、鉄道の値上げに異議を申し立てるために、わざと不正乗車する人たちもいるそうですが、不正乗車の増加で売上が減ったために運賃が上がってしまえば、本末転倒になるんですがねえ・・・
フランクフルトではここ数年は3%前後ですが、ケルンでは2005年に4%強のキセル乗車率が報告されたこともあります。
失業率12%で人口の半分が外国人であるベルリンでは、今年の地下鉄の不正乗車率は7~8%にもなり、億単位の売り上げ損失になるということです。
これらの数字は検札管によるコントロールで発見された不正乗車なので、検察官に発見されなかったキセル乗客を加えると、実際の不正乗車は数パーセント上増しになるはずです。
常習者への処罰も近年さらに厳しくなり、罰金はここのところ40ユーロで固定していますが、キセル乗車を3回以上発見されると裁判所に告訴されることもあり、実際に刑務所行きになった男性も現れました。キセル乗車を74回発見された後ではありますが・・・
また、最近では無賃乗車の罰として個人情報を交通機関のデータバンクに2年間登録され、何度もキセルを発見されるとその交通機関の利用を今後一切拒否されることもあります。
せめて都市部だけでも改札口を作れば、ここまで苦労しなくてもよくなるはずなのですが、検札機の設置には膨大な費用がいるはずだし、検札機のことをちらりとでも考えたことがあるのかどうかも分かりません。
これからも各交通局は、今までのように人海戦術でいくしかないのかもしれませんね。
ヘッセン州でもその日の検札予定路線を一般に知らせているラジオがあり、その路線の不正乗車は防止できるのでしょうが、他の路線で検札が行われないのがわかってしまっている状態です。
このように、各交通機関はキセル乗車愛好家には手を焼いているわけですが、大部分の人は真面目に切符を買っているようです。
なぜ真面目に切符を買うのかを数人のドイツ人にアンケートしてみましたが、切符のコントロールがあるからだというのが全員の答えでした。
列車の中で検札官がキセル乗客を発見した現場を目撃した人たちも多いと思いますし、何度も不正乗車をすればそのうち見つかると思うのが普通ですしね。
実際にロンドンやパリは検札機を導入しているわけだし、大赤字のベルリンに改札口を作ったら、収益が大幅に上がるのは一目瞭然だけど、検札機を導入する予算なんかどこにもない。
まさしく、Teufelskreis (悪循環)だ・・・
参考記事
ヨーロッパでは一部の都市を除いて、大抵の駅に改札口がありません。
駅構内やホームに切符の自動販売機はあるけど、検札もなく、直に列車に乗り込みます。
駅によっては、駅の建物を通らずに道路から直接列車にたどり着けるところもあり、日本人から見れば不思議な光景です。
日本では、田舎の駅以外ではほとんどの駅に自動改札口が設けられていて、それでもキセル乗車をする人がいる有様だというのに、ヨーロッパ人はみんなまじめに切符を買うから改札口がいらないんでしょうか?
この疑問にお答えする前に、ドイツの改札口の歴史をたどる必要があります。
姑の記憶によると、実は、約60年前までは駅構内のホームへの入り口が遮断機のようなもので遮られ、その前に立っている駅員に切符を見せないと列車に乗れなかったそうです。
当時はどこの駅にも住み込みの駅員がいて、改札から列車の発車の合図などの様々な仕事をしていたそうですが、後に人権費削減のために駅員は廃止となり、車掌による車両内での検札が始まりました。
それ以降、検札の仕方はそのままで変わらず、現在に至っているわけですが、未だに改札機が使用されないということは、乗客が真面目にチケットを買っているからでしょうか?
答えは、否。
どこの国でも、不正乗車というものはあるものなんですよ。
ドイツでも昔からキセルをする人がいました。
ただ、その大部分は青少年層で、短距離で乗り降りする近郊列車や市内の列車だけでした。
現在でもキセル乗車をするのは青少年が多いですが、実は以前より複雑な様子を見せるようになってきています。
現在のドイツの不正乗車の実態
EU圏の拡大で東欧や南欧からも自由に出入りできるようになって外国人が多くなったことや、何度もやってきた経済危機による失業者と貧困家庭の増加が誘引となって、無賃乗車をする人が増加し続けました。1960年代にドイツ全国で0.5%前後だった不正乗車率は、1980年代には1.5%になり、現在では3%~4%に達するところも出ている有様です。
不正乗車常習犯の中には、鉄道の値上げに異議を申し立てるために、わざと不正乗車する人たちもいるそうですが、不正乗車の増加で売上が減ったために運賃が上がってしまえば、本末転倒になるんですがねえ・・・
各地の状態
不正乗車の比率は各地で差があります。フランクフルトではここ数年は3%前後ですが、ケルンでは2005年に4%強のキセル乗車率が報告されたこともあります。
失業率12%で人口の半分が外国人であるベルリンでは、今年の地下鉄の不正乗車率は7~8%にもなり、億単位の売り上げ損失になるということです。
これらの数字は検札管によるコントロールで発見された不正乗車なので、検察官に発見されなかったキセル乗客を加えると、実際の不正乗車は数パーセント上増しになるはずです。
各交通局の対応
大きな売上損失に頭を痛める各交通局や交通機関グループは、検察官のユニフォームを廃止して私服に変更し、検札の回数を増やしていますが、これによって不正乗車率が大幅に下がったところも報告されています。常習者への処罰も近年さらに厳しくなり、罰金はここのところ40ユーロで固定していますが、キセル乗車を3回以上発見されると裁判所に告訴されることもあり、実際に刑務所行きになった男性も現れました。キセル乗車を74回発見された後ではありますが・・・
また、最近では無賃乗車の罰として個人情報を交通機関のデータバンクに2年間登録され、何度もキセルを発見されるとその交通機関の利用を今後一切拒否されることもあります。
せめて都市部だけでも改札口を作れば、ここまで苦労しなくてもよくなるはずなのですが、検札機の設置には膨大な費用がいるはずだし、検札機のことをちらりとでも考えたことがあるのかどうかも分かりません。
これからも各交通局は、今までのように人海戦術でいくしかないのかもしれませんね。
キセル愛好者側は
その一方、ハンブルグでは facebook の「Schwarzfahren Hamburg (キセル乗車 ハンブルグ)」に4000人以上の不正乗車愛好者が集まり、検札が行われている路線の情報を投稿しているうえに、「いいね」ボタンを押す人が1万人以上出ており、facebook を見たハンブルグの交通局は驚きを隠せませんでした。ヘッセン州でもその日の検札予定路線を一般に知らせているラジオがあり、その路線の不正乗車は防止できるのでしょうが、他の路線で検札が行われないのがわかってしまっている状態です。
このように、各交通機関はキセル乗車愛好家には手を焼いているわけですが、大部分の人は真面目に切符を買っているようです。
なぜ真面目に切符を買うのかを数人のドイツ人にアンケートしてみましたが、切符のコントロールがあるからだというのが全員の答えでした。
列車の中で検札官がキセル乗客を発見した現場を目撃した人たちも多いと思いますし、何度も不正乗車をすればそのうち見つかると思うのが普通ですしね。
実際にロンドンやパリは検札機を導入しているわけだし、大赤字のベルリンに改札口を作ったら、収益が大幅に上がるのは一目瞭然だけど、検札機を導入する予算なんかどこにもない。
まさしく、Teufelskreis (悪循環)だ・・・
参考記事
- Beförderungserschleichung
- Fahrkartenkontrolle
- S-Bahn: Zahl der Schwarzfahrer steigt
- Schwarzfahrer muss ins Gefängnis
- BVG beklagt: Schwarzfahrer-Zahl drastisch gestiegen
- Schwarzfahrer-Quote 2009: Zahlen fast unverändert
- Schwarzfahren lohnt sich
- Schwarzfahrer bei Facebook: Zahl der "Freunde" steigt
- Kein EU-Land hat mehr Ausländer als Deutschland
- Bahn: Strafanzeigen-Flut gegen Schwarzfahrer
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ロンドンで似たようなカードの体験しましたけど、ドイツにはありません。
改札口がないから、必要ないんですけどね。
全額補償してくれるとは、便利な物なんですね。
しかし、日本にも置き引きがあるんですか・・・
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切符を買いたくても買えない状態になるので、堂々と無賃乗車することになる。
なんちゅうアホな電車でしょうね。